この旅は、職業や成功のためだけのものではありません。
それは、心の奥から湧き上がる使命――自分を超えた何かに導かれる道です。
理事 森田要の物語も、まさにそのような旅のひとつです。
日本の美容師としてキャリアを重ねながら、ヘナと自然療法への深い探求を通してアーユルヴェーダの哲学に共鳴し、日本とインドという二つの世界をつなぐ人生を歩み続けています。
原点 ― 自然と美に育まれた人生
1958年、山梨県生まれ。
自然への敬意、質素で誠実な生き方が日常に根づく時代に育った森田は、幼少期から「美しさ」や「手仕事」、そして「人が自分らしさを表現すること」に強く惹かれていました。
1978年に東京マックス美容専門学校を卒業後、修業を経て美容師としての道を歩み始めます。
1984年には東京・南青山に自身のサロンをオープン。繊細な技術と誠実な姿勢で、多くの顧客から厚い信頼を得ました。
しかし森田の探求は、外面的な美しさにとどまりませんでした。
「自然」「本質」「健康」「人の心」――それらを調和させる、より深い美の形を求めていたのです。
40年にわたり歩み続けた ― ヘナとの出会い
すべてのアーティストには、その人生を象徴する“素材”があります。
森田にとってそれは「ヘナ」でした。
約40年にわたり、彼はこの自然の恵みとともに歩み続け、髪を美しく染めるだけでなく、癒しと再生をもたらす力に魅了されました。
化学染料のように髪を傷めることなく、自然と共に生きるヘナ。
それは単なる道具ではなく、森田にとって“道標”そのものでした。
最高品質のヘナを求めていた2009年、彼はインドのCultivator Natural Products Pvt. Ltd.(CNP社)と出会います。
同社はインドで初めてECOCERT(エコサート)認証を取得したオーガニック企業。
創業者のナラヤン・ダス・プラジャパティと現代表タルン・プラジャパティの理念に深く感銘を受けたこの出会いが、森田の人生を大きく変える転機となりました。
CNP社の父子との出会いは、単なるビジネスではなく“魂の共鳴”でした。
髪の美しさを、自然との調和として捉えるその姿勢は、森田自身の信念と完全に一致していたのです。
「美は、健康と安全、そして地球への敬意と共にあるべき」
この共通の哲学が、彼にアーユルヴェーダを日本へ伝えるという新たな使命を与えました。
安心と信頼を届けるプロダクトづくり
CNP社との協働を通じて、森田は「製品は人を癒やすものであるべき」という信念を深めました。
CNP社は、農薬・化学物質を一切使わずに多種多様な薬草を有機栽培し、インド・EU・フランス・米国の各種認証を取得しています。
• 化学添加物不使用
• 酸化剤・重金属不使用
• 遺伝子組換え原料不使用(Non-GMO)
• 動物実験なし
• 太陽光発電や水資源保護による環境配慮型農法
これらは単なる品質基準ではなく、「安心と美を同時に届ける」という森田の信念に通じます。
「人類にとって本当に必要なものとは何か」
CNP社のタルン・プラジャパティとの対話の中で、森田の心に深く残った言葉があります。
“What is truly essential for humanity?”
(人類にとって本当に必要なものとは何か?)
この問いは、彼の人生の羅針盤となりました。
流行や利益ではなく、「本質」「誠実さ」「自然との調和」を基軸に歩むこと。
それが彼の使命であり、アーユルヴェーダを通して伝えたい真の価値でした。
アーユルヴェーダ・ライフスタイル・ジャパンの設立
2025年、森田はついに自身の長年の夢を実現します。
それが、一般社団法人 アーユルヴェーダ・ライフスタイル・ジャパンの設立です。
日本理事として就任し、5,000年の歴史をもつインドの叡智を日本のライフスタイルに結びつけることを使命としています。
活動の柱は以下の3つ:
1. アーユルヴェーダに関する調査及び研究
2. アーユルヴェーダに関する出版活動
3. アーユルヴェーダ製品を使用した体験会の開催
この取り組みを通じて、森田は“自然と人の調和”という哲学を次世代へと伝え続けていきます。
書籍を通じた知の共有
美容師でありながら、研究者・教育者としても歩んできた森田。
その知見は多数の出版物として結実しています。
主な著書:
• 『トリートメントヘアカラー ヘナ』(学陽書房)
• 『美髪再生』(メタモル出版・筆名塩田鹿納命)
• 『新版 なっとく!のヘアカラー&ヘナ&美容室』(彩流社・共著)
• 『最高のヘナを求めて ― 髪を美しくする奇跡の植物』(茅花舎)
• 『アーユルヴェーダの驚きの果実 ― アムラの真実』(彩流社・監修)
• 『髪 あるがままの美しさを求めて』(茅花舎)
• 『共生 —髪から世界が変わる—』(工作舎)
• 『ヘナ 美容白書』(彩流社/共著)
これらの書籍には、美容師としての技術だけでなく、「自然の叡智を伝える使命」が込められています。
人・植物・地球が調和する未来へ
森田の信念の中心にあるのは、
「人・植物・地球が共に生きる調和」という考えです。
アーユルヴェーダ・ライフスタイル・ジャパンでの活動を通して、
彼は多くの人々にこのメッセージを届けていきます。
それは専門家としての知識に裏づけられた声であり、心からの誠実な願いでもあります。
「哲学・知識・製品 ― それらは高い志と継続的な革新の結晶です。
私たちは、日本に真のアーユルヴェーダを届けていきます。」
東と東を結ぶ架け橋として
森田 要の旅は、単に日本とインドを結ぶものではありません。
それは「伝統と現代」「美と健康」「東洋と東洋」をつなぐ旅です。
青山の小さなサロンから始まり、いまや国境を越えて自然の叡智を広める存在となった彼の歩みは、「本物とは何か」「自然は人を癒す」「調和の中に未来がある」ことを教えてくれます。
人を、植物を、そして地球を愛するその姿勢は、
私たち一人ひとりにとってのインスピレーションとなることでしょう。