6つの味・適量・そして「意識して食べること」
大切なのは「何を食べるか」だけでなく、「どのように、どれくらい食べるか」
アーユルヴェーダを含め、多くの食事に関するアドバイスは、食材そのものに焦点を当てがちです。
しかしアーユルヴェーダでは、それと同じくらい大切にされていることが、ほかにも2つあります。
それは、どのように食べるか、そしてどれくらい食べるかです。
アーユルヴェーダには、この考え方を表す3つの古典的な概念があります。
- シャド・ラサ(Shad Rasa):6つの味
- アーハーラ・ヴィディ(Ahara Vidhi):食べ方や食事の作法
- アーハーラ・マートラ(Ahara Matra):自分にとって適切な食事量
これらを実践するために、特別な食材は必要ありません。
実は、普段の日本の食事にも、すでにその多くが取り入れられています。
シャド・ラサ:食卓にすでにある6つの味
アーユルヴェーダでは、食事には6つの味があり、1つか2つの味に偏るのではなく、複数の味をバランスよく取り入れることが大切だと考えられています。
普段の日本の食卓を見てみると、すでに多くの味が含まれていることに気づくでしょう。
甘味(Sweet)
白米や、加熱した根菜類などから得られる自然な甘味
塩味(Salty)
味噌汁や醤油などから得られる塩味
酸味(Sour)
柑橘類や漬物などから得られる酸味
辛味(Pungent)
生姜やわさびなどから得られる辛味
苦味(Bitter)
緑茶や葉物野菜などに含まれる苦味
渋味(Astringent)
未熟な果物や、特定のお茶などに含まれる渋味
ご飯、味噌汁、野菜のおかず、お茶が並ぶ一般的な日本の食事でも、意識しなくてもすでに4~5種類の味が含まれていることがあります。
特別なアーユルヴェーダ料理を一から作る必要はありません。
まずは、今の食卓にすでに何があるのかに気づき、必要に応じて少しバランスを整えることから始めてみましょう。

アーハーラ・ヴィディ:意識、環境、そして食べるペース
アーハーラ・ヴィディについては以前の記事でも詳しくご紹介しましたが、ここでも簡単に振り返ってみましょう。
アーユルヴェーダでは、何を食べるかだけでなく、どのように食べるかも消化に影響すると考えられています。
例えば、
- 立ったまま、または歩きながら食べるのではなく、きちんと座って食事をする
- 食事中はスマートフォンを手の届かない場所に置く
- 急いで食べるのではなく、一定の落ち着いたペースで食べる
これらのことを実践するために、特別な時間を増やす必要はありません。
すでに食事に使っている時間の中で、少しだけ「ながら食べ」や気を散らすものを減らすだけでも十分です。
アーハーラ・マートラ:自分にとっての適量を知る
アーハーラ・マートラは、アーユルヴェーダにおける「食事量」に関する考え方です。
しかし、これはどれくらいの量を食べきるか、といった固定された数字を示すものではありません。
大切なのは、自分自身の感覚に気づくことです。
古典的な目安としては、苦しくなるまで食べるのではなく、心地よく満足したところで食事を終えることが勧められています。
- お腹いっぱいになるまで食べるのではなく、腹八分目程度を目安にする
- 誰かが決めた一律の量ではなく、自分が満足した感覚に気づく
- 食後に体が重く、横になりたくなるほどではなく、軽やかで自然に動ける状態を目安にする
「適量」は、人によって異なります。
また、同じ人であっても、その日の体調や活動量、季節、時間帯などによって変わります。
だからこそ、アーハーラ・マートラでは、すべての人に同じように当てはまる固定されたルールではなく、その日の自分自身の消化力や状態に合った量を見つけることが大切だと考えられています。

今日からできる、シンプルなチェックリスト
この考え方を試すために、食事を大きく変える必要はありません。
次の食事で、ほんの少しだけ以下のことを意識してみてください。
- 食卓を見て、6つの味のうち、どの味がすでに含まれているか確認する
- 少なくともその1食だけは、きちんと座り、スマートフォンを手の届かない場所に置く
- 食べ物の味を感じられるペースで食べる
- お腹いっぱいになるまで食べるのではなく、心地よく満足したところで食事を終える
それだけで十分です。
これを何度かの食事で繰り返してみると、特別な習慣を増やすというよりも、少しずつ自然な感覚として身についていくでしょう。
一般的な食生活のためのガイダンスとして
この記事は、日々の食生活を見直し、自分自身の食べ方に気づくための一般的なウェルネスガイダンスです。
医療的な食事療法や個別の治療計画を目的としたものではありません。また、医師や管理栄養士などの専門家によるアドバイスに代わるものでもありません。
特定の健康上の問題や、診断を受けている消化器系の不調、または食生活について気になることがある場合は、専門家に相談し、ご自身の状態に合ったアドバイスを受けることをおすすめします。
日々の食事においては、
- 食卓にある6つの味に気づくこと。
- 食事中にしっかりと意識を向けること。
- 自分にとって心地よい量で食事を終えること。
この3つを意識することが、アーユルヴェーダの食事の考え方を日常に取り入れる、シンプルな第一歩になるでしょう。
ご自身の体質に合わせたアーユルヴェーダの考え方については、ぜひドーシャ診断もお試しください。